FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

委員長 第一話「入れ替わり」

「フゥー……」
放課後、高校の屋上で、俺は今日もタバコを吸っている。
俺の名前は高橋大介。高校二年の17歳だ。
ある有名人と名前の読みは一緒だが、俺はあんな人生を送っていない。
(中学に入るまでは、まじめな子どもだったんだがな……)
中学入学後、両親とも死別してしまい、親類に引き取られて、
本当に退屈で、夢も希望もない日々を過ごしてしる。
そえゆえに、俺は未成年に関わらず、酒・タバコ・窃盗・暴行などを繰り返し、
かなり荒れてしまっていた。


「さて、そろそろ帰るか……」
タバコを携帯灰皿に入れようとしたそのとき、屋上のドアがいきなり開いた。
「た、高橋くん…!それ、タバコだよね……?」
入ってきたのは、うちのキャメル色のブレザーにチェックのスカートという
うちの高校の女子生徒の制服を着た少女。
そう、俺のクラスの委員長である「麻井春香」だった。
スタイルも性格も非常に良いのだが、真面目過ぎで、俺にとっては目の上のタンコブのような存在だ。
(チッ…!委員長に見つかっちまったか……。
 昨日、次は退学だと言われたばかりだからまずいな…)

委員長は後ろを向き、階段を下ろうとしているようだった。
教師にチクりにいくのだろうか。
なんとかしなければ…
そう思うと身体が自然に動き、委員長の腕を掴んでいた。

「ちょっと待てって、委員長!」
「なによ…!」
俺が急に腕を掴んだのに驚いたのか、委員長は少し怯えていた。
無理もない。俺みたいな不良とは住む世界が違うしな…。
だが、チクるのを止めさせなければ。
「俺、次に見つかったら退学なんだよ…。頼むから言わないでくれよ……」
俺はなるべく穏やかに言ってみたが…
「そんなの関係ないでしょ!あなたが悪いんだから!
 今から職員室に行きます」
取り付く島もなく、彼女は階段を下りようとした。
俺はそれを止めようとした。
が、足がすべってしまった!!
「うわわわぁぁ!!!」
「い、委員ちょ……!!」
「えっ……?」


ドカッ!!
ゴロゴロゴロ………


俺は委員長を巻き込んで、階段から転げ落ちてしまったようだ。
これで、余計に委員長の機嫌を損ねたことで穏便な手段は、もう無理だろう。
しかし、たった十数段とは言え、コンクリートの階段だ。
身体がかなり痛む。
「イテテテッ………」
傷がないか、転げ落ちるときに閉じていた目を開く。
すると、目の前に男子生徒が一人倒れていた。
(???踊り場にだれかいて、そいつも巻き込んじまったか?)
とりあえずそいつは置いといて、委員長を探す。
しかし、この場には、俺とこの男子生徒しかいない。
(なんでだ…?委員長は…?)
委員長のことも気になったが、
俺はとりあえず、少し痛んだ自分の身体に怪我がないかチェックしようとした。


自分の身体を見ると、俺はなぜかスカートをはいていた。
手や足も白くて細い。
(?!?!?!?!)
「な、なにがあったんだ……。
 エッ…!?!?」
ふと出た声もいつもより甲高い。
試行錯誤したが、何がなんだかわからない。
とりあえず自分の状況を把握しようと自分の鞄から手鏡を取り出し、自分の顔を見てみた。
そこに映っていたのは俺、高橋大介………ではなく、
クラスの委員長、麻井春香だった。






(ハッ!!少し放心しちまった)
「俺が委員長になってるってことは、もしかして……?」
俺は急いで、倒れている男子生徒の顔を覗き込んだ。
その顔は、俺そのものだった。
「やっぱりか……」
どうやら俺と委員長の身体が入れ替わっているようだった。
「階段から転げ落ちたのが原因か……?」
なぜこうなったのかを考えてみようとすると、『俺』が声を出した。
「う…うぅん……」
目を覚まして、あたりを見ている。
もちろんその視界に俺が映る。
「あれ、なんで私がそこにいるの……?」
どうやら委員長は状況がまだ飲み込めていないようだった。
(仕方ない……。説明するか。)






「こんなことになっちゃうなんて……」
さすがにいつもは強気な委員長も不安げだ。
「確かにな……」
不安なのは俺も一緒だが。
「ねぇ、転げ落ちて入れ替わったんだったら、もう一度してみない?」
委員長の提案はもっともだ。
けれども…
「次は、こんなカスリ傷じゃすまないかもしれないぜ…?」
そう、次は死ぬことも考えられる。
俺たちは再び、黙り込んでしまった。


少しすると、委員長が口を開いた。
「ねぇ、私の身体であぐらなんでかかないでよ」
自分の座り方を見てみると確かにあぐらだ。女子のスカートで。
「あ、あぁ」
言われて、正座に直したが、仕方ないと思う。今の身体は委員長のでも、心は男だ。
「そっちもそんな言葉遣いやめろよ」
俺も注意してやった。言われっ放しは嫌だしな。
素直に直すと思ったが、
「じゃあ、そっちも言葉遣い直して。誰かに見られたらどうするの!?」
簡単に言い返されてしまった。
(女に口じゃかなわないな……)

「でも、本当にどうするの?
 このままって訳にはいかないし…」
そうだ。この状況を解決しなければならない。
でも、解決策はない。
それどころか、このままじゃ誰かに見られる。
「とりあえず、ここじゃ誰に見られるかわからないし、どっか静かに話せる場所に移ろうぜ」
誰かにこんな言葉遣いの俺たちを見られたら、頭がおかしくなったのかと思われる。
それは避けたい。
「そうね…。じゃあ、私の家にしましょう」
委員長も俺の提案に賛同してくれた。
(委員長の家……?)
俺は、その点を疑問に感じた。
そりゃそうだろう。年頃の女の子が、男を家に入れるなんて家族がなんて言うか……。
「あ、心配しないで。お母さんは私が小さい頃死んじゃって、
 お父さんは世界中を回ってて、年に数回しか帰ってこれないから、誰もいないし。
 まぁ、お父さんが結構仕送りしてくれてるから、生活は大丈夫なんだけど…」

それを聞いて、俺は少し驚いた。
自分がこんなに荒れている一方で、委員長は真面目に人生を歩んでいる。
自分は両親が共に死んだのに、委員長は父親が生きている。
自分は親類に引き取られ、親権とともに遺産も養育費ということでかなり取られてしまったのに、
委員長はそこそこ裕福な暮らしをしている。
似たような環境であるはずなのに、全くといっていいほど似ていない。
(なんで、こんなに不公平なんだ…!!??)
(委員長ばっかりズルイじゃねぇか…。
 いや、待てよ……。
 今、俺は委員長の身体なんだよな。
 なら、俺が『麻井春香』として、その暮らしの恩恵に与ることもできるわけだな……。
 今まで何にもいいことなかったし、これからだってないだろうし、
 俺が『麻井春香』として生きるってのも悪くねぇかもな…。
 身体が女になるのは少々困るが、ほとんど自由で良い生活を送れるし、
 委員長の身体は、顔もスタイルもいいから悪い気はしないな……)
さっきまでとは違って、俺の中に暗い黒い思いが満ちてきた。
(くくくっ……)
この感情の赴くままに動こうか…。

「どうしたの?行くよ」
委員長が前から俺に声をかけてきた。
「あ、あぁ。わかってる」
とりあえずは情報が必要だ。
委員長の家に行って、情報を仕入れるとするか…。
俺が『麻井春香』になるための……。

コメントの投稿

Secret

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。